金沢のお寺「長久寺」での展示、2日目は版画の「摺体験ワークショップ」を行いました。
摺師の伊藤達也先生は四代続く摺師で、絵に描いたような江戸っ子で東京は根津からお越しくださいました。
絵師・彫師・摺師の分業で制作するのが浮世絵なのですが、その中で摺りを専門に行う「摺師」である、伊藤さん。
作務衣と雪駄がよく似合う伊藤さん。大御所の職人さんと聞いて最初はビビっていたENZOスタッフでしたが、お話したらとても優しい方で、よかった〜
学校で昔、版画の授業ありませんでしたか?「ばれん」て覚えてらっしゃいますでしょうか。あれで、和紙を版木にこすっていき、版木の凹凸の凸部分の絵を写していくのが「摺り」です。
イキナリは難しいので、まずは伊藤先生のお手本を見せてもらうことから。版画好きの大人から、夏休みの宿題用にしようって算段の子供まで、みんなで先生を囲みます。
葛飾北斎の「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」の版木でデモンストレーションする伊藤氏。こちらの浮世絵、輪郭線+舟の色、空の色、波の色・・版木が分かれて、なんと8回もの摺りの工程を経てやっと完成するものなのですって(知らなかった!)。
お話していた時は優しげな伊藤先生、摺り始めるとやっぱりなんだかピッとした空気に。そんな先生の鮮やかな手つきにみんな釘付け。
版木に色を乗せ、刷毛でその色を伸ばし、和紙を当てて摺っていきます。
なんでしょうね、こういう、職人さん特有のかっこよさったら。職人さんがこれまでずーっとずーっと積み上げてきた努力や丹念が、所作の一つひとつに現れる、そういう美しさ。動作は瞬間に移ろいさり、そして続いていき…、目が離せません。
一版摺るごとに、絵がはっきりとしてきます。特に空のグラデーションを摺った時。グッと奥ゆきが増したのが印象的でした。
絵が完成するまでに、見ている私たちが道具や紙の持ち方など、摺りかたの基本を覚えられるようになっているのも、さすが!
さて続いては、そうして基本を学んだ私たちの番です。
私たちが摺るのは、4版で仕上がる蝶々の絵。
ところが・・同じ版木、同じ和紙で摺っても、どことなく個性が出るものなのですね!4色均等に綺麗に摺れる方もいれば、飛び立ったところか?と思うような蝶々(和紙を置く時にスライドしてしまってズレたみたい)などなど・・。
常に高いクオリティで作り続ける職人さんの素晴らしさを、たくさん感じたひとときでした。
この日は長久寺がさながら「寺子屋」に。子ども達もたくさん集まってくれて、エネルギーに満ちた明るく素敵な時間になりました。
ご参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました!
Andyのイベントレポート、次回は「レスピラシオン」へ続きます。